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手足が動かない
しゃべりにくい
ろれつが回らない

いつも通りの生活でも、何もないところで転倒してしまったり、何だか言葉を発するときに違和感を覚えたり、誰しもが経験のあることだと思います。

疲れているときや精神的に落ち込んでいるときであれば、「ああ疲れかな」「年のせいかな」と考えることがあるかもしれません。しかし、そうしたちょっとした違和感の中にも病気が潜んでいる可能性があるのです。

ここでは“手足が動かない”、“しゃべりにくい”、“ろれつが回らない”という症状を中心にして話を進めていきたいと思います。もし病気の可能性があるのであれば、早期発見早期治療に繋げられるような情報としてまとめていきます。

目次

手足のマヒ・ろれつが回らない理由

手足を動かそうと思ったとき、脳から「手足を動かしなさい」という命令が出ます。命令は“神経”という道を通って全身へと行き渡ります。

脳から出た命令は、脳から脊髄(首や背骨)という部分を通って手足へと伝わっていきます。その命令を受けた神経は、次に筋肉を動かす命令を出します。

神経から命令を受けた筋肉は、そこで初めてピクッピクッと収縮をして、「手足が動く」という行動が起こるとされています。

言葉を話そうとしたときも同じように、脳からの命令を受けて喉や口、舌などの筋肉が動いて言葉を発します。

麻痺とは

脳からの命令が手足の筋肉を動かすには、神経を通って筋肉を動かす経路があることをお話しました。
そのいずれかの場所でトラブルが発生して、うまく筋肉が動かせなくなった状態を“麻痺”といいます。
麻痺には少しは動かすことのできる“不全麻痺”と、完全に動かすことができない“完全麻痺”があります。

脳からの命令

“脳卒中”や“脳腫瘍”などの病気では、筋肉を動かす命令がうまく出せなかったり、命令がすぐに途絶えてしまったりなどのといったことが起こります。

それが原因で、手足がうまく動かせない症状や、言葉をうまく発せなくなることがあるのです。

また、障害を受けた部位によっては、言葉を紡いで意味のある言語にすることができなくなることもあります。これは“統合失調症”や“認知症”などの病気で意味不明な言葉を話している状況とは仕組みが異なります。

脊髄を通って伝わる

“脊髄損傷”や“多発性硬化症(MS)”、“脊髄小脳変性症(SCD)”などの病気では、脳からの命令をうまく伝えられなくなることで、手足の麻痺が出ることもあります。

また、小脳の機能が低下することで“呂律が回らない”という症状として出る場合があります。

“椎間板ヘルニア”などでは、背骨でクッションの役割をしている軟骨が飛び出てしまうことによって、神経を圧迫することがあります。

神経が圧迫されることで命令がうまく伝わらずに、下半身に麻痺の症状が出ることもあります。

さらに神経を通って筋肉に届く

“筋萎縮性側索硬化症(ALS)”などの病気では筋肉を動かす命令を伝える神経がうまく働かないことで、筋肉に麻痺が起こります。

また“手根管症候群”という病気では手首の神経が圧迫されることによって、手や指に麻痺の症状が出ることもあります。

正座をしていて“足が痺れた”という症状も、同じ体勢により神経が圧迫されることによるものです。時間と共に回復していきますので、正座で痺れた場合には病気とはいいません。

筋肉が動く

「手足を動かせ」という命令が筋肉の手前まで届くと、神経は筋肉を動かすための物質を放出します。その放出された物質をキャッチした筋肉が収縮して、動くという行動を起こすのです。

“重症筋無力症”という病気では、放出された物質をキャッチする部分が自分の免疫で破壊されてしまうことにより、麻痺の症状が起こります。

麻痺が舌やのどの筋肉に現れると、“しゃべりにくい”、“声が細くなる”、“声が嗄れる”などの症状が出てきます。

“パーキンソン病”という病気では、放出する物質のバランスが崩れるなどの理由から、筋肉がうまく動かせなくなることがあります。

これらは“ろれつが回らない”、“しゃべりにくい”という症状として現れることがあります。

“神経毒”や“神経ガス”と呼ばれる毒物の中には、筋肉を動かすための物質を阻害する物もあります。

神経難病を含む多くの病気では、運動をするための筋肉(骨格筋)に影響が強く出てきます。内臓の筋肉や心臓の筋肉が侵されない病気も数多くありますが、一方で心臓の筋肉や肺の組織を傷つける病気も存在します。

決して自己判断をせずに、手足が動かない症状や、しゃべりにくいという症状が出た場合は、いち早く受診することが重要です。

考えられる病気は

手足が動かないという症状に注目してみると、障害が起こっている原因や場所によって麻痺の起こる場所が変わってきます。

片側(右半身や左半身)だけに麻痺が出ている(片麻痺:へんまひ)

脳の命令は脊髄の部分で神経が交差して、反対側に伝わる構造をしています。たとえば右手と右足に麻痺の症状が現れた場合には、脳の左側に障害が発生している可能性が高くなります。

“脳梗塞”、“脳内出血”、“脳腫瘍”などの病気では、発生した部位によってはこうした片側だけの麻痺が起こることもあります。

両足に麻痺が出ている(対麻痺:ついまひ)

手の動きに問題がない場合には、背骨や腰などの経路に障害が起こっている可能性もあります。“椎間板ヘルニア”や“脊髄腫瘍”などの病気では、神経が圧迫されて下半身に麻痺の症状が出ることもあります。

四肢のいずれかに麻痺が出ている(単麻痺:たんまひ)

胴体に近い部分から麻痺が起こっているのか、先端の方で麻痺が出ているかの点に注意が必要です。
“重症筋無力症”などの全身性疾患であっても、特定の筋肉にだけ強く症状が出ることもあります。
“手根管症候群”や“ガングリオン”などでは神経を圧迫することで、その先の部位が麻痺することもあります。

四肢全てが麻痺している(四肢麻痺:ししまひ)

首より下で麻痺が起こっているのか、首よりも上も麻痺しているのかに注意が必要です。事故などによる“脊髄損傷”では脊髄の部分で神経の伝達がうまく行かないために、言語などの問題がなくても四肢の麻痺を起こすことがあります。

“周期性四肢麻痺”という病気では四肢の麻痺発作が起こることもあります。“筋萎縮性側索硬化症(ALS)”などの全身性疾患では首を支える筋肉や呼吸をする筋肉も麻痺をすることがあります。

“しゃべりにくい”という症状も、原因によって様々な“しゃべりにくさ”が考えられます。前項では典型的なしゃべりにくい症状について記載しましたが、ここではそれ以外にもしゃべりにくさを伴う可能性のある病気について例を挙げます。

心因性失声症

しゃべりにくい症状の方から、全く声を出すことができなくなる症状の方まで幅広い“しゃべりにくさ”を伴う病気です。

原因としては強いストレスによって一時的に声を出せなくなってしまうことが知られています。なぜ声が出せなくなってしまうのか、その仕組みについては研究が続いています。

シェーグレン症候群

自分の免疫によって、涙腺や唾液腺などの腺(水分を出す部分)が破壊されてしまう病気です。

唾液腺が破壊されると唾液の量が極端に低下して、口の中が乾燥状態となってしまいます。乾燥によって言葉をうまく話すことができなくなる場合があります。

多くの場合は涙腺も障害を受けて、極度のドライアイ症状が起こることもあります。

さまざまな原因が考えられる症状です。現代の医学では完治の難しい病気も多数ありますが、早期発見、早期治療によって進行を遅らせることができる病気も増えてきました。

気になる症状がある場合には脳神経内科(神経内科)の受診をおすすめします。

緊急性がある状態とは

手足が動かない症状、しゃべりにくい症状、こうした症状がなぜ起こってくるのかを説明してきました。どのような病気でも受診が必要な症状といえますが、その中でも特に緊急性を要する病気があります。

特に注意が必要な病気は“脳卒中”で、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。徐々に症状が出ることも、急激に症状が出ることもありますが、けっして自己判断をしないことが重要です。

1分1秒を争う事態です。治療が早ければ早いほど救命できることも多くなりますし、後遺症も軽くなる傾向にあります。

このような症状を伴っていたら迷わず119番

めまいや吐き気、意識がもうろうとしている、目の焦点が合わないなどの症状には気をつけてください。

また、バットで頭部を殴られたような痛みや目の奥が焼けるように痛いなど、経験したことのない痛みを伴う場合にも要注意です。

もしやと思ったら

両腕を左右に広げて、左手と右手の人差し指を内側に向けた状態にしてから、その人差し指をゆっくりと動かして体の前でくっつけます。

もしもうまくくっつけられない場合には、なるべく早めに受診してください。

他の病気でも緊急性を要する場合があります。手足が動かない症状と共に、首がうまく支えられなくなっている状態や、息苦しい、肩を上下させているといった場合などには緊急搬送が必要な状態とも考えられます。

“重症筋無力症”や“多発筋炎”などの病気で、呼吸をする筋肉に麻痺が起こってくると、呼吸困難の症状が出ることもあります。

素早い緊急搬送と、人工呼吸器などの措置を行うことで救命率が上がり、その後の呼吸管理なども軽い処置で済む傾向にあります。

一般的に、“手足が動かない”、“しゃべりにくい”という症状は様子を見るべき症状とは異なります。様子を見て回復するよりも、進行をして悪化する可能性が十分に考えられる症状です。

気になる症状がある場合には、必要に応じて救急車を呼んだり、一刻も早く脳神経内科(神経内科)や内科を受診したりといった適切な対応をおすすめします。

著者 Writer

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巖本 三壽(いわもと さんじゅ)
昭和大学 医学部 卒業後、昭和大学 小児科に入局。昭和大学の医学部、薬学部で基礎医学や病態・薬物治療の教鞭をとる傍、小児・内科診療の医療に携わる。2023年、家本循環器内科院長に就任。

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