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物忘れ、元気がない
怒りっぽくなった

ここでは“感情”と“記憶”に着目して、“脳”の中では何が起こっているのかをお話していきたいと思います。

何かしらの病気となったときに、なぜその症状が現れてくるのか、そうした謎解きにもなれば幸いです。

目次

症状が現れるメカニズム

私たち人間は、年を重ねると体のあちこちが弱ってきて、若い頃にできたことができなくなることや、難しくなることがあります。

筋力が低下して転びやすくなったり、消化不良でお腹の調子が悪くなったり、若い頃の無鉄砲さがなくなることもあります。

老化は自然現象として起こっているものです。

物理的に体の機能が低下することも含まれますし、場合によっては感情の起伏が穏やかになることも含まれるでしょう。

同じく、記憶力が低下することも、疲れやすいと感じることも、快活さが減ることも、老化が影響しているともいえます。

ここではなるべくわかりやすく、主に働く脳の部位を紹介します。では脳の中で一体何が起こっているのか、イメージしてみましょう。

ものを覚える

目や耳などから入ってくる情報を脳が受け取ると、脳の様々な部分が働いて“記憶”をしていきます。

“海馬”といわれる脳の部分と、“大脳皮質”という部分が記憶に関して活発に働いています。

海馬(かいば:たつのおとしごの意味)

“海馬”は脳の奥の方にあります。すぐに使用できて、速やかに薄れていく“短期記憶”の担当です。

大脳皮質(だいのうひしつ)

脳の表面の部分です。海馬が活動する刺激によって、記憶が育って固定されていきます。

“長期記憶”を担当しています。

ものを忘れる

海馬も大脳皮質も記憶のために働きますが、海馬は新しい情報を随時更新するために空き容量を確保する必要があります。

そのために海馬はどんどん物事を忘れていく能力にも長けています。

大脳皮質は容量が大きいので、海馬が忘れても大丈夫なように大脳皮質に記憶を蓄えていきます。

パソコンでの例え話

私たちが普段扱うパソコンのパーツに置き換えた例え話をしましょう。

海馬はメモリ、大脳皮質はハードディスクだと考えてみます。

メモリは高速で処理をする上で欠かせません。しかし価格も高く、搭載できるメモリ量もそれほど多くありません。

対してハードディスクは大容量の記憶媒体で価格も安く、データを長期間保存するならばメモリよりも向いています。

メモリが電源を切ると開放されてしまうことは、“短期記憶”という考え方に近いかもしれません。

電源を抜いても記憶が残るという点で、ハードディスクは“長期記憶”に適しているでしょう。

脳の中での記憶

記憶が始まるとメモリには一気に情報が流れてきて、すぐに情報処理ができます。

ハードディスクには記憶するための領域が確保されます。

メモリが活動するとハードディスクの設定された領域に情報が流れていき、そしてデータの形になっていきます。

扁桃体(へんとうたい:アーモンドの意味)

脳の奥の方には扁桃体という部分があります。扁桃体では人間の持つあらゆる“感情”をコントロールしています。

“感情”を発生させたり抑制させたりといった部分でも多くの働きがあります。

扁桃体への刺激は、“海馬”や“大脳皮質”だけではなく、脳のあちこちから起こっています。

“感情”のコントロールには、過去の“記憶”とも密接な関係があります。

前頭前野

脳の様々な部分が活動をして“記憶”や“感情”を複雑に絡み合わせ、私たちの思考や行動へと繋がっています。

前頭前野という部位は扁桃体や海馬に比べて脳の表面に近い部分にあります。

表面に近いということは、原始的ではなく社会的や近代的な部分が強いともいえます。つまり“前頭前野”では、高度な思考や感情を司っていると考えることもできるのです。

少し難しい名前なども出てきましたが、“記憶”や“感情”も全て“脳”の活動によって起こっているということになります。

もしもそうした部位に障害が起これば、“記憶”や“感情”などに関わる症状が現れてくるのです。

病気の種類によって、現れる症状も多彩となってきます。

次項からは病気が原因となって起こる様々な症状について話を進めていきます。

物忘れを感じる病気とは

人間の“記憶”と“感情”は脳の活動によって起こっていて、調整されていることをお話しました。

そして私たち人類は“認知症”の症状を現す様々な病気を研究によって発見してきました。

ここでは病気の仕組みや、“記憶”や“感情”に与える影響などを記載します。

毒性の高いタンパク質

“アルツハイマー型認知症”では“海馬”
“前頭側頭葉変性症”では“大脳”
“パーキンソン病”では“中脳黒質”
“レビー小体型認知症”では“大脳皮質”

これらに代表される病気は、対応する場所に毒性の高いタンパク質が存在します。

このタンパク質によって脳細胞が壊されているのか、壊された後にタンパク質が残るのか、詳しいことはわかっていません。

“アルツハイマー型認知症”では“短期記憶”に関わる“海馬”の細胞が壊されてしまいます。

その影響で、たとえば「食事をした」という短期的な記憶が損なわれるといった症状が出てきます。

しかし過去の記憶は既に“大脳皮質”で育っていますので、数年前や数十年前の出来事を明確に覚えているということには矛盾がありません。

“パーキンソン病”は“ドパミン”という物質を放出する細胞が壊されてしまいます。

ドパミンは運動のコントロールとも密接な関係がありますので、“運動失調”や“手足のふるえ”などの症状が現れることも注目されます。

ドパミンは感情のコントロールにも関係しています。病気の進行によって別の細胞が壊されることや、神経伝達物質のバランス崩壊などの原因から“記憶”や“感情”といった部分に影響を与える症状が出てくることもあります。

脳卒中など

“クモ膜下出血”によって脳が圧迫されてしまえば、その部分が持っている記憶が失われる場合や、その部分が司る機能を損ねてしまう事ことがあります。

また“脳内出血”や“脳梗塞”によって脳の細胞が壊れてしまうと、その部分が持っている機能や、記憶や感情のコントロールがうまくできなくなることも考えられます。

その他にも頭部のケガや、貧血などによる脳細胞の破壊が原因となって、記憶や感情に関する症状が出ることもあり得ます。

性格の変化

脳の部位によって、大きな影響を与える“記憶”や“感情”に違いがあるだろう、という事まではわかっていますが、その全てはまだ解明されていません。

しかし“認知症”症状の中でも、特に原始的に必要な“攻撃性”や“残虐性”、“生殖本能”、“活動力”などに大きな影響を受ける病気も確認されています。

もしもご家族などが以前と比べて、“怒りっぽい”、“狂暴”、“暴力的”、“異常な性欲”、“セクハラがひどい”、“やる気がない”など性格に変化が見られた場合には、ご相談ください。

緊急性がある状態とは

“性格”や“記憶”に関する症状は非常に多彩で、この症状があるから受診をすすめる、ですとか救急車を呼ぶといったことを示すのは難しいかと思います。

個人や家族で対処できる範囲の症状かという基準もありますが、“せん妄”や“錯乱”という症状が出ていた際には注意が必要だといえます。

以下のような症状が思い当たる場合には、受診の必要な可能性もあります。

・意識がもうろうとしている
・突然ボーっとしてしまう
・会話についていけない
・どこにいるかがわからない
・理路整然と話すことができない
・脈絡のない会話になる
・命に関わる判断力が低下している
・命に関わる重大な事実を忘れている
・病気や薬に対する善し悪しがわからない
(薬を飲み過ぎてしまう、薬に嫌悪感を抱いて飲まないなど)
・暴力をふるう
・幻視や幻聴がある
・誰もいないのに誰かと会話している
・異常な性欲で、セクハラが度を越えている
・誰かが狙っているなどと警戒している
・脳に機械を埋め込まれた、電波を受信しているなどの発言

こうした症状以外にも、身体的にさまざまな症状が伴うこともあります。

自己判断でわからないことはたくさんありますので、専門家の医師に相談することが安心に繋がるでしょう。

その際には、精神科や脳神経内科といった専門の医師に診てもらうことをおすすめします。

著者 Writer

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巖本 三壽(いわもと さんじゅ)
昭和大学 医学部 卒業後、昭和大学 小児科に入局。昭和大学の医学部、薬学部で基礎医学や病態・薬物治療の教鞭をとる傍、小児・内科診療の医療に携わる。2023年、家本循環器内科院長に就任。

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