全身の健康状態を把握し、
病気の予防や早期発見・早期治療に
繋げましょう
体調が悪い時や何かしらの病気がある時に、病院へ行くといろいろな検査を行います。
多くの方は肘の内側あたりに針を刺して、血液を採取された事があるかと思います。
病気には何かしらの原因や兆候などがあるとされます。原因があるから症状が出る、という考え方です。医師が的確な治療や管理をするために行う検査を「臨床検査」と呼びます。
血液検査も臨床検査のひとつで、体を流れる血液の中にあるさまざまな物質を測定することで、病気の原因を突き詰めていきます。
血液検査は患者様への負担と原因解明のバランスを考えた時に優れた検査のひとつです。そのために血液検査は一般的に広く行われています。
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目次
血液検査<結果の見方>
血液検査で測定出来る項目は数千項目以上ありますが、その全てを検査したとしても、それは効果的な検査とは言えません。
患者様の痛みや採血量、検査にかかる費用など様々なことを踏まえた上で、優先的に行われる血液検査の項目は決まっています。
血球計数(血算) | 「赤血球数」「白血球数」「血小板数」など、血液に含まれる血液細胞の数を主に計測する検査です。 また「白血球分画」といって、白血球の複数ある種類の細胞のそれぞれの割合を見る検査もあります。 赤血球がどれくらいの酸素を運ぶ能力があるか、血液中に赤血球がどの程度含まれているかなども検査します。 |
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生化学 | 全身の臓器から分泌された「酵素の活性」「老廃物(代謝産物)」「タンパク質」や「コレステロール」といった成分などを測定します。 生化学検査では血液中に含まれる物質を測定するのですが、これは細胞や生物そのもの以外の化学物質を測定するという意味になります。以下のような生化学的な物質を測定します。 ・肝臓の数値として知られる「ALP」「AST」「γ-GTP」など。 ・細胞成分の代謝産物では「尿酸値(UA)」など。 ・脂質異常症の目安となる「LDL-コレステロール」「HDL-コレステロール」「中性脂肪(TG)」など。 |
検査値から病気を推測する
健康診断の結果が届いた際に、検査値が「高値」であったり、「低値」であったり、その数値に多くの方は意識を強く持ってしまうかと思います。
もちろん特定の検査1項目の高低が重要になる検査もあります。
しかし一般的に行われる血液検査では、それら1項目ごとの数値よりも、複数の項目での総合的な検査値が重要になってきます。
わたしたち医師はどのようにして検査値から病気の推測をして、更なる詳細な検査へと繋げていくのか、ご紹介いたします。
咳や発熱といった症状が続くケース
白血球数の数値 | 体を外部の異物から守るための免疫に関わる細胞です。白血球は、感染症が起こったり、特定の白血病によって上昇することがあります。 また血球を作る骨髄という部分に問題があると下がることもあります。 |
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CRP(C反応性蛋白)の数値 | 「肺炎球菌」というバクテリアのC多糖類という成分に反応するタンパク質です。 細菌感染だけではなく、体の中で「炎症反応」が起こった時に上昇するタンパク質の一種です。 炎症が起こって「1時間~2時間後」に急上昇をする数値となります。 |
採血検査前後の注意事項
食事の影響 | 採血による血液検査がある場合には前日夜や当日朝など、食事の制限を指示されることがあります。 食事だけではなく飲料に関しても、糖分が入っていない物に限定されることもあります。 「血糖値」「インスリン」「OGTT」という検査項目では食事から大きな影響を受けます。これらの検査項目は「糖尿病」を発見するために重要な検査です。 他にも「中性脂肪(TG)」は、食事の影響を受けます。中性脂肪は、肝臓の状態を把握したり、脂質異常症の傾向を把握するために必要な検査です。 このように食事の影響で正しい検査値が出せなくなった場合には、再検査となることもあります。 |
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乳び | 食事を摂ると、健康な方でも「中性脂肪(TG)」の数値が上がります。検査値が高く出るだけではなく、脂肪分によって血液が白く濁ります。 濁ることで、色や光を用いて測定する検査項目に影響が出てしまいます。 「総蛋白(TP)」「ビリルビン(Bil)」「中性脂肪(TG)」「プロトロンビン時間(PT)」などの検査項目は、測定方法に色や光を用いることが多く、影響が出やすいとされます。 この他にも乳びの影響を受ける検査項目はありますので、絶食の指示は、しっかりと守りましょう。 |
激しい運動 | 採血前に全力疾走をしたり、ベンチプレスのような激しい運動を行うと、血液検査の結果に影響が出てしまいます。これは運動によって筋肉細胞が壊れる事が原因です。 筋肉細胞が壊れることにより、「クレアチンキナーゼ(CK)」、「乳酸脱水素酵素(LDH)」といった検査項目が影響を受けます。 「心筋梗塞」では、心臓の筋肉細胞が死んで破壊が起こります。 これらの検査値は、細胞の破壊によって上昇するので、激しい運動後では正しい検査値かどうかが分からなくなってしまいます。 また、特定の薬で起こる可能性がある「薬の副作用」で、筋肉が破壊されるケースを見逃してしまう危険性もあります。 |
著者 Writer
- 巖本 三壽(いわもと さんじゅ)
- 昭和大学 医学部 卒業後、昭和大学 小児科に入局。昭和大学の医学部、薬学部で基礎医学や病態・薬物治療の教鞭をとる傍、小児・内科診療の医療に携わる。2023年、家本循環器内科院長に就任。
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