私たちは生きるために食事を摂って、栄養素を吸収して排泄するという行動を繰り返します。
その際に重要な役割を担う部位が消化器と呼ばれる管で、口から肛門までチューブ状に繋がっています。
消化器には、大きな免疫組織が存在し、お腹の痛みとして危険信号を発することや、嘔吐や下痢によって悪い物を体外にいち早く排出します。
こうした体の反応は生体防御として正しい反応なのですが、場合によっては生命に危険が及ぶものも存在します。
例えば、腸閉塞などの緊急入院・治療が必要なものもあります。
そのため、適切な医師の診断が必要となります。
また、細菌感染による食中毒では、薬で下痢を止めることは、体に毒素が回り、死に至るケースがあり、下痢止めをむやみに使用することは、禁止されています。
経験豊富な医師の判断を仰ぐようにしましょう。
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目次
痛みが起こるメカニズム
痛みの症状について
私たちは日々、健康に気遣って生活を営んでいます。様々な物を食べたり飲んだりしていく中で、消化器は毎日同じ動きをしているわけではありません。
常にストレスを受けて、その機能は変化していきます。
まずはそうした人体の反応が起こる“なぜ”について話していきましょう。
お腹の痛みとは
私たちが体の様々なところに感じる“痛み”は、痛みを伝える神経が興奮して、その興奮が脳へと伝わって“痛い!”と認識することで生まれます。
まず、腸管の緊張が高まったり、炎症が生じることで発生します。
また、臓器の不器合を別の部位で皮膚の痛みを感じる関連痛があり、臓器障害が見つかることもあります。
痛みを感じることができるからこそ、深刻な状況に至る前に対処ができるともいわれます。
つまり痛みは生きていく上で必要なものともいえるのです。
なぜ吐き気が起こるのか
脳の延髄という部分には、嘔吐を引き起こす嘔吐中枢があり、嘔吐中枢に伝わることで吐き気や嘔吐といった症状が発生します。
主な原因は、
- 腸管の刺激
- 耳鼻咽頭からの刺激
- ホルモン・生体内物質、薬物による刺激
- 脳内の刺激
があります。
嘔吐は、脱水症をきたして、中には重大な疾患であることもあるので、放置せず、早期に医師の判断を仰ぎましょう。
便とは
口から食べた物は、消化管を通りながら栄養素を吸収されて、大腸に泥状のものとなって流れてきます。
その泥状の物が腸の動きによって水分を吸収されていき、腸内細菌の影響を受けて、その死骸と共に排泄される物が「便」です。
なぜ下痢が起こるのか
腸の動き(ぜん動運動)が活発な状態では、水分を吸収するよりも早く便が流れてしまうか、腸管吸収が抑えられることで、下痢や軟便といった症状が出てきます。
腸の動きは悪い物を早く排泄させようとする場合だけではなく、強いストレスを受けたときにも影響を受けることがわかっています。
例えば、「コレラ菌」の出す毒素は大腸から水分を逆に放出させるように働いてしまいます。
また、不消化物が多いと滲透圧の上昇により、吸収が妨げられ下痢になります。
なぜ便秘が起こるのか
食物繊維の摂取不足および腸の動きが低下した状態では、水分が必要以上に吸収されて「便秘」が起こります。別の原因として、腸が緊張しすぎた状態では便をうまく運ぶことができずに「便秘」が起こります。
また便意をうまく感じられなくなった場合にも便秘が起こることがあります。
浣腸を頻繫に使用するとこのようなことになります。
また、最近の知見では、胆汁酸受容体の刺激が便意と関連することが分かってきて、この現象を利用した薬物も出てきています。
また、甲状腺機能低下症やパーキンソン病などの疾患に付随した便秘や薬剤による便秘もあります。
最近の便秘の定義は、排便回数よりも便の形状や排便時の困難さを重視されるようになり変化しています。
なぜ胸やけが起こるのか
口から食べた物は食道を通って胃へと運ばれていきます。食道と胃の間を噴門部といった逆流を防ぐ弁のような組織があります。
何かしらの原因で、弁の機能が障害されると、胃酸が食道の方へ逆流して、食道粘膜に炎症をきたし、ますます、弁の機能が障害され、放置すると悪循環となり、胃酸が戻る、ゲップ、咽頭痛、慢性の咳が出現します。
こうなると逆流性食道炎という病気で、食道がんの原因になるので、治療が必要です。
食道がヒリヒリ、ジリジリといった、焼けるような刺激を受けるのはこのためです。
これを「胸やけ」と呼びます。
お腹の痛みと一言でいっても、こうした複雑な仕組みが絡み合って起こっています。原因がお腹にないこともありますので、普段とは異なる腹痛を感じた場合には受診をおすすめします。
また逆に、痛みを伴わないお腹の病気もありますので、そうした部分は次の項からお話を進めていきます。
お腹の痛みから考えられる病気とは
腹痛や吐き気、便通の悩み、胸やけなどは、程度の違いはありますが多くの方にとって経験のある症状だと思います。
そのままにして良いのか、それとも治療が必要なのか、そうした判断を自分ですることは難しい場面もあります。
ここでは便の状態や色、胃痛の特徴など、そうした視点から体の状態を観察する流れでお話をします。
便について
注意しておきたい通常の固さの便 | ・黒い便(タール便) 食事でイカスミなどを摂っていないにも関わらず、タールのような黒い便が出た場合には注意しましょう。 血便の一種ですが、黒色の便で、胃や十二指腸などからの上部消化管からの出血があることを意味します。 みぞおちのあたり(胃の近く)に痛みがあったり、吐き気を伴ったりする場合も要注意です。 ・白色便 胃部レントゲン検査後のバリウムとは違う白い便が出た際には注意してください。 主に、脂質の消化に重要な胆汁酸が、消化管に流入されないと、この現象が起こります。 この原因として、肝硬変・胆管癌など怖い病気が含まれます。 また、抗生物質などを服用している際にも出現します。 ・血便 便の表面に赤い血液が付着していたり、拭いた紙に血液が付着していたりする場合も注意しましょう。 排便時に肛門の近辺が切れた可能性もありますが、大腸などから出血している場合には特に受診を急ぎましょう。 「大腸がん」では便に血液が混じっている状態でも、腹痛などを伴わないことがあります。 |
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腹痛・嘔吐・血便をきたす下痢 | ・腹痛・嘔吐・血便 体にとって有害な細菌(腸炎ビブリオ、サルモネラ菌、病原性大腸菌、赤痢、キャンピロバクターなど)による「食中毒」の可能性があります。 特に、ベロ毒素という物質を養生する細菌だと、腎臓を傷害して高い致死率となります。 また、高齢者や小児では、脱水症をきたしやすいので、脱水症状にならないように注意をして、早めの治療をおすすめします。 ・血液のような真っ赤な便が出る 通常の便とは異なって血液そのものが肛門から排泄される症状を「下血(メレナ)」と呼びます。 特に新生児では、母乳のみで栄養摂取している場合に、ビタミンK欠乏症で このような症状が現れます。 脳出血の危険もあり、早急な対応が必要です。 乳児では、腸重積症に注意が必要です。放置すると、腸が壊死する可能性があります。 |
長く続く下痢や便秘 | 「過敏性腸炎(IBS)」という病気では、下痢が続く型、便秘が続く型、交互に繰り返される型などがあります。 排便の不調が数か月に及び、排便をすることで腹痛が和らぐことが特徴です。 特に、下痢型の場合は、社会生活に影響が大きく、普通の下痢止めでは治療ができません。 便秘型では、腸の緊張が強過ぎて、排便困難となります。 ストレスによって悪化することも知られていますので、排便の不調が長く続く場合には受診をおすすめします。 |
胃痛や胸やけについて
逆流性食道炎 | 中年以降の成人に多く、国民病と言ってもいいほど多い疾患です。 生活習慣の改善や薬物治療が必要です。食道がんの原因となります。 |
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アニサキス感染症 | アニサキスという寄生虫は、胃液の強い塩酸から逃れるために胃壁を破って逃げようとします。 そのときに生じる免疫反応により、強い腹痛があります。 烏賊、サバなどの刺身を食べた時には注意しましょう。 内視鏡で摘出する事もありますので、食べたものも含めてご相談ください。 また、アニサキスのアレルギー反応として、胃腸症状が出ることもあり、頻繁に症状が出る場合は、アレルギー検査が必要です。 |
腹痛を生じる疾患
急性膵炎 | 中性脂肪の高い方やたくさんお酒を飲む方に多く、発症する致死的で恐ろしい病気です。 膵臓は、食物を消化する酵素を多く含む臓器ですが、膵炎を生じると、それらの酵素が血液を介して、色々な臓器に障害を与えます。 特に、血流の多い腎臓が影響を受けやすくなります。 強烈なお腹の上部の腹痛が症状として発症します。 |
胆石や胆嚢炎 | 右上腹部あたりに強烈な痛みとして出ることが多い病気です。 胆石は、かなりの人が 無症状で有していますが、胆石が胆のうから出て、胆道を閉塞すると、強い痛みを発症します。 脂っこい食事の後に生じることが多いです。 発熱や黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)が伴っている場合には特に注意しましょう。 胆管・胆のう炎の場合、マーフィー徴候という症状が出現し、診断されます。 緊急入院、治療が必要な病気です。 |
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腸閉塞(強い腹痛、緑色の嘔吐) | 腸が何かしらの原因で詰まってしまった状態を「腸閉塞」と言います。また腸の動きが無くなってしまった状態を「イレウス」と言います。 腸管が物理的に閉塞する場合は、緊急があります。 緑色の吐物が出る場合は、そのサインであり、一刻の猶予もありません。救急車を呼んでください。 |
自宅での対処方法
腹痛や吐き気、下痢、便秘などの症状に対しては、家庭の常備薬やドラッグストアなどの市販薬でも多くの種類が販売されているかと思います。
多くの場合、暴飲暴食の後に生じることが多く、市販薬で対処することで、ほとんどが治ります。
しかし、市販薬で改善しない症状が長期に渡ったり、繰り返す場合は、受診をお勧めします。
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